ニュース検定1級はなぜ難しいのか
ニュース検定は1級とそれ以外の級で大きく難易度が違います。理由の1つに、求められる基礎力の違いがあると私は考えています。1級にはテキスト未掲載の設問が多く出てきます。まるで「1級受ける人ならこれくらいはわかってますよね」と言わんばかりに。つまり1級合格を確実なものにするには、そのジャンルの基礎知識が必要不可欠となる訳です。
基礎力を付けるのに一番適しているのは本だと思っています。頂いたメールで最も多かった質問が「オススメの本はありますか」でした。本が重要だと考えている人が私だけではないことがおわかり頂けるかと思います。ニュースを見ているだけでは、知識が増えても理解はできません。理解という土台がないと知識が載ってくれないのです。
ここでは、私が1級に合格する土台を作ってくれた本を紹介します。当サイトにはすでにオススメ基礎本というコーナーがありますが、そこで紹介した本よりも難度の高い本も入れてあります。基礎力UPはもちろん、得意分野の開拓や苦手ジャンル克服の参考になれば幸いです。
読んでおきたい1冊~政治編
まずは「憲法主義」(南野森 内山奈月)です。国会の議論は憲法と密接に関わっていますから、憲法がわかれば政治がわかると言っても過言ではありません。本書は以前も紹介していますが、憲法の入門書としては出色の出来で自信を持ってオススメできます。
次に近現代史を学べる本として「はじめての日本現代史」(伊勢弘志 飛矢﨑雅也)と「昭和史1945+戦後編」(半藤一利)の2冊がオススメです。「はじめての日本現代史」は教科書的な作りで「昭和史」の方は物語的な作りとなっています。教科書的と書きましたが、よくまとまっているという意味で読みにくさはありません。近現代史はニュース検定でも出題頻度が高く、流れだけでも把握しておくと受験時の助けになります。
最後は異色の1冊「総理の実力 官僚の支配」(倉山満)。私はこの作者があまり好きではありません。決めつけが多く、俺が言うんだから正しいという姿勢が透けて見えるからです。それでもオススメとして載せるのは、政府内の力関係や強すぎる参院の意味がわかりやすく(そして覚えやすく)書かれているからです。同じ作者の「自民党の正体」という本も戦後政治の裏側や派閥争いの様子が面白く描かれており、覚えやすく記憶に残ります。
読んでおきたい1冊~経済編
「世界の経済ニュースがまるごとわかる本」(丹羽由一 監修)は、入門書を何冊読んでも経済を理解できなかった私が、そうだったのか!と膝を打った思い出深い一冊です。わかりやすさの秘密は、景気が良い状態とは具体的にどういった状態なのかを最初に定義していること。この本を読むとアベノミクスが何を目指して行われているのかがハッキリと理解できるようになります。書店やネットで扱いがない時は「もう一度学びたい世界経済 」(丹羽由一)が同じ内容なので代替可能です。
次のオススメは「池上彰のやさしい経済学(上)(下)」(池上彰)。上巻は代表的な経済学者の考え方を紹介しており、政府がどのような理屈で政策を決定しているかが理解できるようになります。下巻は戦後経済史の解説でオイルショックやリーマンショックなど代表的な事件を扱っています。
上記の2冊を読めば多くの経済ニュースが理解できると思います。
プラス1で実力UPしたい方には「平成金融史」(西野智彦)と「戦後世界経済史」(猪木武徳)がオススメです。「平成金融史」はバブル崩壊~現在までの日本の金融政策を、「戦後世界経済史」は日本と世界の戦後経済が学べます。若干難しい部分はありますが、馴染みの薄いアフリカ、ラテンアメリカ、東南アジアといった地域の経済にも触れており世界経済の大きな流れが掴めます。
読んでおきたい1冊~暮らし編
暮らしのカテゴリに属するテーマは人口問題・社会保障・労働問題がありますが「教養としての社会保障」(香取照幸)は、これらをバランスよく取り上げています。わかりにくい社会保障の仕組みや問題点を整理の行き届いた文章構成で解説。暮らし分野に関しては、この1冊で必要十分な知識が得られると思います。
出口治明さんのレビューも参考にどうぞ。
読んでおきたい1冊~社会・環境編
扱う範囲が広く、これ1冊でカバーできるという本はありません。ですので個別で読んだ本を紹介していきます。
まずは司法、こちらは「裁判所ってどんなところ?」(森炎)がオススメ。実は初めて1級に合格した時も刑事事件と民事事件の違いがわかっていませんでした。司法の仕組み、裁判の基礎について知りたいことがわかる良本です。
地震については「なぜ起こる?巨大地震ののメカニズム」(木村政昭監修)と「日本列島の下では何が起きているのか」(中島淳一)で勉強しました。「なぜ起こる?巨大地震ののメカニズム」は地震の基礎知識は約半分、残りは監修教授の地震予知理論について書いてあります。「日本列島の下では何が起きているのか」は最新の知見に基づいた入門書ですが、ややレベルが高いです。ニュース検定用の入門書としては「巨大地震としくみ」(ニュートンムック)が一番のオススメでしたが絶版のようです。
原発については「知っておきたい原子力発電」(竹田敏一)と「高校生からわかる原子力」(池上彰)が鉄板。核分裂の基礎から簡単に学べる「知っておきたい原子力発電」と、原発導入の経緯や歴史などニュース検定向けの知識を学べる「高校生からわかる原子力」は互いをカバーしており、長く使える知識が手に入ります。
暗号資産に使われているブロックチェーン技術については「ビットコインとブロックチェーン」(大塚雄介)で勉強しました。元々ある程度知っている分野でしたのでこれ以外の本は読んでいません。ブロックチェーンの基本的な仕組みはこの本で十分かと思います。
読んでおきたい1冊~国際編
国際と言っても国・地域で幅広い上に多くの本が並んでいます。ただ、ニュース検定1級合格に向けた基礎力向上という意味で1冊選ぶなら「欧州複合危機」(遠藤乾)を推します。近年のEUは離脱問題を始め、ユーロ危機、難民問題と注目される話題が多く、この本で得た知識が随分助けとなりました。
ニュース検定の国際問題はそれほど深い知識を必要としていないので、普段のニュースやテキストで得られる知識で対応可能だと思っています。
まとめ
ここであげた本全てを読む必要はありません。気になったジャンルの本を1冊程度で十分だと思います。どれも基礎を覚えるのに適した本ばかりなので是非手にとってみてください。