高速逆走の当事者となって

高速道路のインター出口に向かう途中で逆走してくる車と遭遇しました。大きなカーブを抜けた所で十分に減速していたこと、2台すれ違うだけの幅があったこともあり、事故には至りませんでした。

軽くクラクションを鳴らし、すれ違うタイミングで停車(今考えたらこれは危なかったかもしれません)。相手は70歳くらいの男性の方で、窓越しに「逆走してますよ」と話しかけると「出口を間違えたんだけど、どう戻ればいいかわからなくて」との答え。実はこのインター、ETC専用の下り口で、出口近くで気付いた男性はUターンしてきたそうです。

出口付近まで進んで呼び出しボタンを押せば係員の方が誘導しれくれますよ、と話した辺りで遠くから走ってくる係員の方が見えたので、事情を話して無事解決。めでたしめでたし、となりましたが…

高齢者だから逆走した?

当初は「お~、逆走って本当にあるんだ」と軽く受け止めていたのですが、しばらく経って思う所が多々でてきました。その1つが「高齢者の事故を防ぐのに、行政ができることはまだあるのではないか」ということです。

今回の出来事は間違えやすい条件が揃っていたと思います。まず、ETC専用の下り口には係の方が付いていません。基本レーンがあるのみなので、出口で対処を聞けないと判断される可能性があるということです。実際は少し離れた建物に係の方は待機していますし、レーンまで行けば呼び出しボタンがあるので、対処を聞ける体制はできています。私も過去、専用レーンに間違えて下りたことがあるのですが、ボタンを押す前に係の人がスピーカー越しに対応してくれました。ですが、今回のようにレーンまで行かずに引き返されてしまうと対処のしようがないことになります。

次に、間違えたときにどうすればよいか、という対処法が知られていないことです。今回の例でいうと、とりあえずレーンまで行けば何かしらあるだろう、と思いつく人はよいのですが、思いつかなかった人はどうするのでしょうか。間違えたときの対処法を知らないと、男性がそうしたように高速に戻ろうと逆走する人が出てくるかもしれません。高齢者に限らず、誰もが当事者になる可能性があるということです。

間違えても大丈夫、という安心感が事故を防ぐ

今回の件で私が考えた対策は次の2つです。

(1)「間違えた方もレーンまでお進みください」という看板を設置する
(2)免許更新時によくある事例と対処法を周知する

(1)については、すでに設置してあるのを見たことがあります。ですがレーン近くまでなかったので、もっと手前に設置し、確実にレーンまで来てもらえるようにすれば良いのではと思いました。今回のインターは下り口から出口まで距離があったので、早めにこういった看板があれば間違えた時も安心できると思います。

(2)についても、免許更新時の講習ですでに導入されています。ですが「やってしまった」とき、逆走していると気がついた時にどう対処すれば良いかについては教わった記憶がありません。自分が逆走した時を想像して、気がついた時にどうすれば良いのかわからず困ってしまいました。高速の入り口付近で「逆走しています!」という警告看板を見たことがありますが、そこで気がついても、その次にどうすれば良いのかわからなければ、逆走は防げても別の事故を誘発する危険が出てきます。逆走をさせないための事例の紹介と共に、逆走した時の対処法を周知すれば、パニックになることもなく冷静に対処できると思います。

2つの対策に共通するのは「間違えても大丈夫」という安心感を持ってもらうことです。そもそも間違えないようにという啓発活動と、間違えても大丈夫という2つのセーフティネットを設けるアイディア、自分では中々だと思うのですが、いかがでしょうか?(笑)

1つでも事故の芽をなくすために

高齢者の自動車事故が問題視されています。被害の大きさから厳しい意見も目にします。一方で地方は車無しでは生活しにくく、財政難で十分な支援を望むのも難しい事情もあります。

劇的な改善策は望めませんが、今できる工夫で1つずつ事故の芽を減らし、その間に技術が進歩して事故の心配なく車に乗れる日を迎えられたらと思います。

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