種痘と人類の知恵
小学4年生くらいの時でしょうか。「学習漫画・世界の歴史人物事典」(集英社)という本を買いました。ハーバーという名前の横に赤い字で「アンモニア」と書きこんである、恥ずかしい記録でもあり、知識を増やしてくれた恩書でもあるこの本は今も本棚に収まっています。
この本によるとエドワード・ジェンナーは牛痘を使った安全な種痘法の発見者と書かれています。種痘法というのは、天然痘の予防接種のことです。牛痘というのは牛が罹る天然痘のような病気で、人が罹っても症状は軽く「牛痘に罹ると天然痘には罹らない」という農夫の話をヒントに、ジェンナーは牛痘を使った種痘法を確立したそうです。
私はずっと種痘法を確立したのがジェンナーだと思っていたのですが、今読んでいる「哲学書簡」で種痘法自体はずっと昔からあることを知り驚きました。人間の知恵というのは凄いなと。ちなみにジェンナー以前の種痘法は人の罹った天然痘を用いたもので、牛痘を使ったものより危険だったそうです。それでも効果はあったようで「哲学書簡」の中でヴォルテールは、イギリスで行われていた種痘法を高く評価しています。